何度も撤退を余儀なくされたディックの数奇な運命!
消えてしまったディックという消費者金融
『ディック』は1995年6月1日に創業された消費者金融で、アメリカのシティグループ傘下であるCFJ合同会社が展開しているブランドの一つです。東京都品川区東品川に本社がありますが現在は新規受付を停止していて、事実上事業撤退をしてしまっています。
何故ディックは撤退をしてしまう事になったのか?その概要についてご説明いたします。
一度目の撤退
会社設立前の1974年(設立は1975年)にダイエーグループ入りをした消費者金融で、大阪府を中心に本店を置き、店舗網を大阪を中心としていました。しかし、1998年。ダイエーグループ再建の一環として、当社の株式がフォード・モーターの金融子会社、アソシエイツ・ファースト・キャピタル(AFCC)へ売却されてしまいます。
が、その後2000年にAFCCがフォードからシティグループへ売却されたため、当社もシティ傘下となることになりました。更に2002年、電話担保金融業者である株式会社マルフクから、店舗や債権等を譲受することになり、再度活動することが可能となります。
そして2003年1月には、当社を含むシティグループの消費者金融3社が経営統合されることとなり、新たに『CFJ株式会社』が発足されます(存続会社はディックファイナンスでした)。ここで、「ディック」は新会社のブランドの1つとなります。
再起への奮闘も虚しく
2006年の上半期からは当社のサービス充実を目的とし、「ディックが大きくなって生まれ変わります」のキャッチフレーズの元、当社のもう一つのブランドであった『アイク』をディックに統一することにしました。これにより、CMなどは全てアイクからディックに変更されることとなります。
また、その頃からインターネットや携帯電話を使った、近代的サービスの提供に力を入れ始めます。情報化社会の流れも強くなっており、インターネットや携帯電話を通じた新規顧客の獲得に力を入れることは必須となっていたようです。現に今ではインターネットから利用状況を確認できる消費者金融というのは当たり前の存在となっており、全くインターネットに対応していないという方が問題です。
しかし消費者金融事業の環境変化、更にはシティグループの経営状況の悪化を受けてしまい、2007年1月には他の大型金融に先駆けて、有人店舗を大幅に削減することになります。数としては、何と全体の約8割にあたる270店舗(最盛期には500店舗以上が運営されていました)の閉鎖となり、2007年末には無人店舗の削減も行われてしまい、大規模な事業収縮となってしまいました。
そして同年11月28日。全ての新規受付を停止することになります(同日CFJは合同会社に改組されました)。これは事実上の事業撤退となり、この決定の裏には、親会社のシティがサブプライム関連で6兆円を超す莫大な損失を計上してしまい、経営が悪化してしまっていることがありました。現在、新規の融資希望者については、同年9月に業務提携したプロミスへの誘導を行っています。
(⇒顧客の事を考える消費者金融プロミス)
なお、2007年11月以降には提携先のCD・ATMが急速に減っており、現在はプロミス・セブン銀行・イオン銀行のATMでの返済、Loppi・Famiポートでの返済受付のみを行っているようです。コンビニとの提携が残っているのが、まだ使えないわけでは無い救いとなっていますね。